映画『ヤクザと家族 The Family』

映画.comの評価が高かったので、昨日鑑賞。

ヤクザと家族 The Family : 作品情報 - 映画.com

 

土曜日の15時台なこともあり、お客さんの入りもだいぶ埋まってる。

 

 

観た感想として、正直ひとつも感情移入出来ず、共感・感動できなかった。

どうして、あんなに好レビューばかりなのか?

なので感想を書いてみます。

 

 

 物語の内容としては、綾野剛演じる主人公が、

・1999年、不良少年だったところを組に拾われる。

・2005年、対立する組と色々あって人を殺めてしまい(アニキをかばい)懲役に。

・2019年、刑期満了して組に戻るが、組員は減り、時代も大きく変わり…。

という3つの大きな場面設定。

 

超絶ざっくりまとめると、

ヤクザになった人が、20年後に普通の生活を取り戻したいと願う。それも叶わず嘆くという物語。

 

 

ここから感想。

 

 

そもそも「ヤクザ」というのは、大前提として正しくない存在・絶対悪だと僕は思う。必要悪でもない。

 

劇中、主に2005年の場面で、ヤクザ同士の争いがあって、当事者たちが何人か死ぬ。それでも悪い人が死んでるだけだから何の同情も抱かず。

(あと、こういうジャンルだからあって当たり前なんだけど、怒鳴り声がうるさくて生理的に不快。ダニエルズの女性刑事のコントの「大きい声出しただろ!」を思い出した(笑))

 

2019年の場面は、元ヤクザがふつうの幸せを願うところ。市原隼人演じる細野は足を洗い、マトモな方向に変わっているが、その経過に何があったかは描かれていない。

(2005年→2019年の間に、ヤクザ・反社を取りまく制度や世の中が厳しくなっている背景あり。)

しかしSNSで身バレがきっかけでうまくいかず、妻子に逃げられる。(この展開がベタというか陳腐に感じて、ちょっと興醒め。)

結局、あっちもこっちも不幸になってしまう。背中のエグい刺青のように、その過去は消えないということ。たとえ「5年ルール」を乗り越えてもそうなのだろう。でも「もとを辿れば自業自得でしょ」って感想に帰納する。

 

マイナスからスタートし、もっとマイナスの結末。ありきたりな「闇堕ち」的な展開ではないけれど、特別な印象も無い。

 

  

描かれるテーマは「家族愛」(血縁関係の有無を問わず)。単純に挙げられるところでは、

・「オヤジ」「アニキ」って呼び合い、肉親以上にあるヤクザの家族感。

・普通の幸せを掴みかけたのに妻子(=本当の家族)に逃げられる。

という対比があるのだろう。

 

でも、

前者は、一般人の感覚や道徳的に言わせたら、そもそも間違ってるでしょう。

後者は、妻子の立場ならそうすることでしか周りの目がある現代で普通に生きられないという点から、残酷だけど仕方ない。(細野については、ヤクザだった過去のことを隠して家族になった可能性もある。)

 

強いて言えば、

・幼いころに亡くなっている(←たぶん)父親の仇を討とうとするツバサ

・実の父とちゃんと向き合い、知ろうとするアヤ

ここらへんは、まあ親子愛なのかな。特にアヤ。

 

「家族愛」だけならヤクザものじゃないのほうが伝わる。パッと思いつくものだと『万引き家族』とか?

難しいなあ。

 

気になって調べてたら、町山智浩さんのツイートを見つけた。https://twitter.com/TomoMachi/status/1008275134065414144?s=20

 なるほど。いつもそういう動機を抱いてチケットを買うわけではないが、鑑賞後に「正しくないことだけれど気持ちは分かる」ということは多々あるな。

それでも今回のは自分のキャパというのか、守備範囲の外だった。「気持ちは分かる」が無かった。ps://twitter.com/TomoMachi/status/1008275134065414144?s=20https://twitter.com/TomoMachi/status/1008275134065414144?s=20h胸が締め付けられることもなかった。

自分が感動しなかったから駄作だ!なんて思わないし、こういうハッピーエンドじゃない作品のほうが印象的なことは多い。

 

個人的に相性の良くない映画でしたということなのだけれど、やはりレビューサイトとの乖離がひどく違和感。ちなみに同時期に公開した似た題材の『すばらしき世界』は観てない。

 

 

なんだか全然まとまらないままになってしまった。

 

ご覧になった方はどう思いましたか?